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地球の自転のふらつき†
- 地球の自転は時計よりも正確!?
- 1956年までは地球の自転に時計を合わせていました。
- 水晶時計の登場により、時計が正確になると、
- 地球の自転がミリ秒レベルではふらついていることが判明しました。
- 短期的には大気の影響により複雑に変動します。
- 短期間では他の天体からの影響は無視できますので、角運動量保存則が成り立ちます。
- つまり、大気が地球をめぐる角運動量と地球の自転による角運動量の合計は一定であり、大気の持つ角運動量の変化が、大気と地面の摩擦を通して地球の自転変動に跳ね返ることになります。
- 大気の動きを正確に予測するのは困難ですから、自転変動の予測も困難になります。

- 長期的には、月の潮汐作用によって地球の自転は減速させられ、1日は長くなります。
- これは摩擦によりエネルギーが減衰する現象であり、減速度合いを正確に予測するのは困難です。

- これらの中間レベルにも、地球内核の自転や氷河の退行など、さまざまな不規則変動の要因があるようです。
- このように、短期的にも長期的にも変動を正確に予測するのは困難ですので、ミリ秒レベルでは地球は時計の代わりになりません。
1日がもっとも短い日†
- 1日がもっとも短くなる日=地球がもっとも速く自転する日を定量的に予測することは困難ですが、ざっくりであれば周期性から理解できます。
- 地球の自転は、
- 大気の持つ角運動量の影響により、夏は速く冬は遅くなります。
- 月が最北や最南にいるときは赤道付近にいるときよりも速くなります。
- 赤道面と白道面の傾く方向がそろうと、変動幅は大きくなります。
- 赤道面と白道面の傾く方向が逆になると、変動幅は小さくなります。
- 月の赤緯が同程度なら、月が遠いときは近いときよりも速くなります。
- 最近/最遠が赤道通過のタイミングに近い場合
自転 | 最近 | 中間 | 最遠 | 1日の長さ |
赤道通過 | とても遅い | - | やや遅い | 長くなるピークにばらつき |
最北/最南 | - | 速い | - | 短くなるピークは同程度 |
- 最近/最遠が最北/最南のタイミングに近い場合
自転 | 最近 | 中間 | 最遠 | 1日の長さ |
赤道通過 | - | 遅い | - | 長くなるピークは同程度 |
最北/最南 | やや速い | - | とても速い | 短くなるピークにばらつき |
- 以上から、地球がもっとも速く自転する=1日がもっとも短くなる日は夏の最北/最南ごろ、月が遠ければなおよい、といえます。
- とはいえ、短期的な上下変動は平均をとれば相殺されますし、そもそもミリ秒程度の違いに過ぎません。
具体例†
- 2024〜2025年
- 赤道面と白道面の傾く方向がそろい、変動幅は大きくなっています。
- 最近/最遠は赤道通過に近いので、自転の速い=1日の短いピークは同程度、自転の遅い=1日の長いピークはばらついています。
- 昨今の自転が速まる傾向も相まって、2024年07月05日は1.6ミリ秒以上短くなりました。
- 2015年
- 赤道面と白道面の傾く方向が反対で、変動幅は小さくなっています。
- 最近/最遠は赤道通過に近いので、自転の速い=1日の短いピークは同程度、自転の遅い=1日の長いピークはばらついています。
- 変動幅が小さく「やや遅い」と「速い」が同程度なため、「とても遅い」だけが目立っています。
- 2022年
- 赤道面と白道面の傾く方向はずれていて、変動幅は中程度。
- 最近/最遠は最北/最南に近いので、自転の速い=1日の短いピークはばらつき、自転の遅い=1日の長いピークは同程度となります。

関連ページ†
Last-modified: 2025-08-02 (土) 15:28:00