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朔弦望

月はその半径が,地球の赤道半径の約1/4,1738 kmで,地球からの距離がおよそ地球の赤道半径の60倍,384400 kmの所にあり,地球に一番近い天体である.地球(E)を中心に考えて,地球のまわりを月(M)は約1か月でひとまわりし,太陽(S)は1年で1周するので,月は1日につき12°,太陽は1°,天球上の位置を変える.このため∠MES (月と太陽の黄経の差) が日につれて変わっていくことになるが,これによって月の満ち欠けが起こる.つまり ∠MES = 0°(月と太陽が同じ方向にある) の時,地球からは月の影の側を見ることになって月は見えない.この時を朔(新月)という.また,日食はこのような時起きるのだが,月の軌道が黄道 (太陽の通り道) に対して約5°傾いていて,月の位置が黄道近くにあるかどうかによるので,いつも日食が起きるわけではない.∠MES= 90°の時を上弦の月という.∠MES = 180°の時は望(満月)でこの時,太陽の作る地球の影に月が入れば月食が起きる.∠MES = 270°の時を下弦の月という.

上弦と下弦

朔望は意のとおりだが上弦 (新月から満月の間)・下弦 (満月から新月の間) とは,半月の形を弓にみたてて月が西の空に沈む時,弦の方を上にして入るのを上弦,下にして入る時を下弦とおぼえておくとよい.朔(新月)より数えた日数を月齢といい,これによって月の位相を知ることができる.暦象年表には,その日の正午の月齢が計算されてのっている.

月の出入り

月の出入の時刻についても同じように考えられる.朔(新月)の時は,太陽とほぼ同時に出入するが,その後は,月の動きの方が速いので月は太陽の東側に離れていく.それにつれて,出入りの時刻は,季節や緯度によって変化はあるが,1日につき約50分おくれていくことになり,望(満月)のころには,太陽が沈むと同時に東の空に月が浮び上がってくることになる.

“月は東に日は西に”とか,夜が明けてくるのに,まだ空に月が残っている“有明の月”とかを,暦象年表の月の出入の時刻表を片手にたしかめてみよう.

暦象年表1998より